米国のインフレ率（2022年6月）

07/17/2022 01/21/2023

Take

先日、米国の2022年6月インフレ率（CPI）が発表され、前年同月比で予想8.8％に対して結果は9.1％。1981年以来、41年ぶりに9%を超えた。米国で生活しているとインフレは深刻な問題である。インフレが著しい商品・サービスには手が出しづらくなる。そこで、今回はカテゴリ別のインフレ率を見ていく。（ボストンエリアでのCPIの公表が２ヶ月に一度であるため、今回は主に米国全体の情報をお伝えします。）

woman sitting behind a desk using laptop and looking at items on a receipt

この記事の目次

■米国のインフレ率推移

まず、米国とボストンエリア*の2020年以降のインフレ率（CPI）前年同月比は以下の通り。（*ボストンエリアとは「Boston-Cambridge-Newton, MA-NH MSA」。エリアの定義を確認したい場合はこちらをどうぞ。）

**米国とボストンのインフレ率（CPI）**
*（U.S. Bureau of Labor Statisticsの情報を基に作成）*

米国のインフレ率は、コロナ禍で一度低迷した後、サプライチェーンの混乱と旺盛な需要が重なり2021年5月に5%台となり、その後も段々と上昇。中国のゼロコロナ政策やロシアによるウクライナ侵攻がサプラインチェーンの混乱に拍車をかけ、2022年3月には8％台となった。その後も8％台を維持。2022年6月には41年ぶりとなる9.1％に到達した。2021年6月のインフレ率は5.4％であったため、２年間で14.5％インフレした。

ボストンエリアにおいても、上昇幅が米国全体程ではないが、同様の傾向が続いている。最新の数値では2022年5月に前年同月比7.5％まで上昇している。

■米国項目インフレ率と直近半年間の推移

次に、米国のカテゴリ別インフレ率（CPI）と直近半年間の推移は以下の通り。

**米国のインフレ率（CPI）**
*（U.S. Bureau of Labor Statisticsの情報を基に作成）*

前年同月比で、食品は＋10.4％、エネルギーは＋41.6％。食品・エネルギーを除くコアCPIは＋5.9％である。項目別に見ていく。

食品

前年同月比で＋10.4％。シリアル・ベーカリー＋13.8％、乳製品・関連製品＋13.5％が比較的高い。

エネルギー

前年同月比で＋41.6％。燃料オイル+98.5％、ガソリン+59.9％、ガス+38.4％等、全般的に上昇している。直近半年間のボラティリティも大きく、ロシアによるウクライナ侵攻翌月の2022年3月にはエネルギー全体で前月比＋11.4％と大きく上昇している一方で、その翌月には＋0.1％に留まっている。2022年6月には、また前月比＋7.6％と大きくインフレしている。

新車・中古車

前年同月比で新車＋11.4％、中古車＋7.1％。共にコアCPIの＋5.9％を上回っている。中古車は比較的ボラティリティが大きく、2022年3～4月の2ヶ月間はマイナスである。関連項目としては、前年同月比で自動車整備・修理+7.9％、自動車保険+6.0％も見逃せない。

住居費

前年同月比で＋5.6％。コアCPIの＋5.9％を若干下回っているものの、全体の支出の32.3％を占めるため、影響が大きい。

航空運賃

前年同月比で＋34.1％と大きく上昇している。直近半年間のボラティリティも大きく、2022年4月には前月比＋21.9％であった一方で、2022年6月は▲0.2％である。

■まとめ

米国の2022年6月のインフレ率（CPI）は、前年同月比で予想8.8％に対して結果は9.1％
1981年以来、41年ぶりに9%を超過
前年同月比で、食品は＋10.4％、エネルギーは＋41.6％。食品・エネルギーを除くコアCPIは＋5.9％
エネルギーは前年同月比で＋41.6％。燃料オイル+98.5％、ガソリン+59.9％、ガス+38.4％等、全般的に上昇
自動車関連では、前年同月比で新車＋11.4％、中古車＋7.1％、自動車整備・修理+7.9％、自動車保険+6.0％
全体の支出の32.3％を占める住居費は＋5.6％

投稿者プロフィール

Take: 1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma （優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号）で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。