ボストンの公園・グリーン(2022年)

ボストンで生活していると、整備された公園や街路樹が多く、グリーンの豊かさを感じます。以前、米国の非営利団体「The Trust for Public Land」が毎年公表しているPark Score®を基に、ボストンの公園・グリーンの状況を記事にしました。今回は新たに公表された2022年のPark Score®を基に、米国におけるボストンの位置づけと2021年からの変化を見ていきます。

ボストンの公園・グリーン(2021年)

オフィスや住宅等の不動産ビジネスにおいて、グリーンへの注目が高まっている。例えば、幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態をさす「ウェルビーイ…

米国都市別ランキング

まず、Park Score®の位置づけを説明します。米国の非営利団体「The Trust for Public Land」が人々の健康や生活しやすいコミュニティのために公園や緑地を整備する/保護することをミッションに掲げ、同スコアを公表しています。また、都市の公園・緑地に関する課題を特定し改善するために、米国の人口上位100都市を下記5点の評価項目で分析しています。

  • アクセス:徒歩10分以内に公園がある住民の割合
  • 面積:公園の合計面積と個々の中央値
  • アメニティ:公園にあるドッグパーク、遊具、トイレ等の数(住民1人あたり)
  • 公平性:人種や収入水準と公園分布の関係
  • 投資:公園への投資額(住民1人あたり)

ボストン市は、2022年のPark Score®において、100都市中12位と比較的上位にランクインしています。

上位20都市(カッコ内は2021年順位)
  1. Washington, D.C.(1)
  2. St Paul, MN(2)
  3. Arlington, VA(4)
  4. Cincinnati, OH(8)
  5. Minneapolis, MN(3)
  6. Chicago, IL(5)
  7. San Francisco, CA(6)
  8. Irvine, CA(7)
  9. Seattle, WA(9)
  10. New York, NY(11)
  11. Portland, OR(10)
  12. Boston, MA(12)
  13. Madison, WI(13)
  14. St. Petersburg, FL(14)
  15. Plano, TX(15)
  16. Pittsburgh, PA(21)
  17. Spokane, WA(17)
  18. Denver, CO(18)
  19. St. Louis, MO(16)
  20. Henderson, NV(22)

以下のグラフがボストン市の各評価項目のスコアですが、アクセス(Access)においては100都市中1位。また、投資(Investment)において18位、公平性(Equity)において23位と上位にランクインしています。

ボストン市のParkScore
出典:2022 ParkScore® Index Custom Rankings

評価項目1:アクセス

ボストンはほぼ100%の住民が徒歩10分以内で公園にアクセスすることができます。全米平均の55%を大きく上回っています。San Franciscoと並んで1位にランクイン。以下のマップを見ると、大規模な公園の他に中小規模の公園がボストン市内にバランスよく配置されているのが分かります。

ボストン市の緑地
出典:ParkScore®

中心地(ダウンタウン)においても、ボストンコモン、パブリックガーデンを筆頭に、ポストオフィススクエア等よく整備された公園があります。また、ボストンにはエメラルド・ネックレスと呼ばれる公園緑地系統があります。公園や川、池等で繋がれた全長11km以上、総面積約450haに及ぶ緑のネットワークです。1878年に建設が着手され、今もEmerald Necklace Conservancyという非営利組織によく整備されています。中心地のボストンコモンから動物園のある市南部のフランクリンパークまで続くこのパークシステムは、ボストンの豊かなグリーンに大きく貢献しています。

エメラルド・ネックレス全体像
(出典:Emerald Necklace Conservancy

評価項目2:面積

ボストン市全体面積の内、17%が公園もしくはレクリエーションとして利用されています。全米中央値の15%は上回っているものの、人口上位100都市の中では53位(2021年は54位)と中位に位置します。836個(対2021年比+6個)の公園が存在します。面積の中央値が約5600㎡であり、他都市と比較すると小規模なのが特徴です。人口密度が高いため、大規模な公園を多く整備しづらいと考えられます。

評価項目3:アメニティ

遊具等のアメニティの観点で見ると、ボストンは40位(2021年は36位)と比較的上位に位置します。バスルームが少なく、実際あまり見かけません。プレイグラウンド(ブランコ、滑り台等の遊具)が100都市中39位。スプラッシュパッド(水遊び場)に関しては1位。子育て世代にとっては有難いと思います。

ボストン市の各アメニティに関するランキング
出典:ParkScore®
スプラッシュパット

評価項目4:公平性

ボストン市では、1人あたりの公園面積が、白人や高所得者層の住むエリアのほうが他エリアに比べ大きいという特徴があります。一方で、他の都市の比べると人種・所得による差が少なく公平性が高いです。また評価項目1のアクセスでも触れたように、ほぼ100%の住民が徒歩10分圏内で公園にアクセスできることも公平性に繋がっています。その結果、100都市中23位(2021年23位)にランクインしています。

ボストン市の人種毎の1人あたりの公園面積
出典:ParkScore®
ボストン市の低/高所得者層の1人あたりの公園面積
出典:ParkScore®

評価項目5:投資

ボストン市は、1人あたりの公園への投資額が$168(2021年比+$14)と全米平均の$98よりも約71%高100都市中18位(2021年23位)にランクイン。市の投資額が$73と全米平均の$83より少ないのに対し、市以外の公共機関からの投資額$65(全米平均$7)と民間組織からの投資額$27(全米平均$5)が大きいのが特徴です。

ボストン市の1人あたりの公園への投資額
出典:ParkScore®

まとめ

ボストン市の公園・グリーンの状況

  • 公園・レクリエーションの面積はボストン市全体面積の17%で、他の大都市と比較してそこまで充実しているわけではない。
  • 一方で、公園・レクリエーションが全米トップレベルで公平に配置されている。ほぼ100%の住民が徒歩10分以内で公園にアクセスできる。
  • アメニティにおいては、プレイグラウンドやスプラッシュパットが高い割合で整備されている。
  • 公園への投資額も全米平均より約71%高く、エメラルド・ネックレス等よく整備されたパークシステムが存在する。

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投稿者プロフィール

Take
1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。

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