米国の人口推計(2022年)
人口は比較的予測しやすいマクロ情報ですが、COVID19の影響により一時的に大都市離れが起きる等、2020年及び2021年は予測しづらいことが起きました。今回は国勢調査局のデータを基に、2022年の米国の人口推計を見ていきたいと思います。
2010~2021年までの米国の人口推移とボストンの位置づけについてはこちらの記事で纏めています。
■米国地域毎の人口成長率(2022年)
まず、地域毎の人口成長率を見ていきます。米国は、国勢調査上では下図の通り、北東部、中西部、西部、南部の4つのエリアに区分されています。
2022年の米国全体の人口成長率は+0.38%で、コロナ禍で低成長であった2021年の0.16%を上回りました。国内への純入国者数が+約101万人と回復したことが原動力となりました。4つのエリア毎の成長率は以下の通りです。
- 南部(South):+1.08%(2021年は+0.71%)
- 西部(West):+0.20%(2021年は▲0.08%)
- 北東部(Northeast):▲0.38%(2021年は▲0.33%)
- 中西部(Midwest):▲0.07%(2021年は▲0.18%)
南部及び西部が米国平均を上回っている一方で、北東部と中西部は米国平均を下回っています。
人が南部や西部に流れるトレンドは100年以上続いています。下図は1920~2020年の約100年間の4エリア毎の人口シェアですが、約100年前の1920年は北東部と中西部で約60%の人口を占めていました。しかし、2020年の同エリアのシェアは約38%まで減少しています。2022年においても、米国内で北東部や中西部から南部へ移住する動きが多いです。
■米国州毎の人口成長率(2022年)
次に、州毎の人口成長率を見ていきます。2021年7月から2022年7月の1年間の州毎の人口成長率は以下の通り。成長している州が南部や西部の内陸側(インターマウンテンウェストとも呼ばれます)に多いことが分かります。
人口成長率ベスト3は以下の通り。
1位:フロリダ州(南部):1.9%(2021年は+1.1%、9位)
2位:アイダオ州(西部):1.8%(2021年は+3.0%、1位)
3位:サウスカロライナ州(南部):1.7%(2021年は+1.2%、5位)
1位のフロリダ州は、オーランド、ジャクソンビル、タンパ等の大都市がいずれも高い成長を遂げています。2位のアイダオ州は、州都であるボイシが大きく成長しています。最下位のニューヨーク州は、州外への純流出が約30万人ほどいることが、一番の原因です。
ボストンの位置するマサチューセッツ州は▲0.1%(39位)。米国平均(+0.4%)を下回り、北東部全体の▲0.4%は上回っている水準です。ニューヨーク州と同様に州外への純流出が約5.7万人と多いですが、海外からの純流入が+4.4万人と対人口比で見ると最も多く、ある程度下支えしています。
大都市圏毎(Metropolitan Statistical Area毎)の成長率はデータが公表され次第公表したいと思います。
■まとめ
投稿者プロフィール
- 1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。
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