ボストンの教育水準の特徴と課題

ボストン都市圏には、米国最古の大学であるハーバード大学の他、マサチューセッツ工科大学、ボストン大学等の多くの高等教育・研究期間が集中する、有数の学園都市です。

ボストンの大学に関してはこちらで纏めています。

ボストンのトップ大学の比較

ボストン都市圏には、米国最古の大学であるハーバード大学の他、マサチューセッツ工科大学、ボストン大学等の多くの高等教育・研究期間が集中する、有数の学園都市です。…

今回は、高等教育だけではなく、初等・中等教育も含めた、マサチューセッツ州及びボストン都市圏の教育水準を見ていきたいと思います。

group of people studying together
Photo by Ivan Samkov on Pexels.com

マサチューセッツ州の教育水準

まず、州レベルで比較しながらマサチューセッツ州の教育水準を見ていきます。U.S.Newsが公表している教育ランキングによると、マサチューセッツ州はニュージャージー州に次いで、2位にランクインしています。本ランキングは高等教育とK-12(主に幼稚園1年と12年間の初等・中等教育の13年間)に分けてそれぞれ分析されていますが、マサチューセッツ州はK-12において2位にランクインしているのが特徴です。

米国州毎の教育水準ランキングトップ10
(出典:U.S.News Education Rankings
高等教育のランキング(マサチューセッツ州:25位

高等教育に関しては、以下5つのポイントでそれぞれランク付けされています。

  1. 2年生大学の卒業率(マサチューセッツ州42位):公立学校に通う学生のうち、2年制の学位プログラムを3年以内に修了した学生の割合。
  2. 4年生大学の卒業率(マサチューセッツ州14位):公立学校に通う学生のうち、4年制の学位プログラムを6年以内に修了した学生の割合。
  3. 卒業時の負債の低さ(マサチューセッツ州43位):4年生大学の卒業生が卒業時に抱える負債水準(公的・私的な財政支援がどの程度あるかを反映)。
  4. 教育達成度(マサチューセッツ州1位):25歳以上のうち、準学士(Associate Degree)以上の学位を持っている人の割合。
  5. 授業料(マサチューセッツ州44位):公立4年制大学の学生に必要な大学の平均授業料と学費。低い程ランキング上位。

マサチューセッツ州は、準学士以上の学位を持っている割合が最も高い一方で、授業料の高さや卒業時の負債の多さが課題です。

K-12のランキング(マサチューセッツ州:2位

K-12(主に幼稚園1年と12年間の初等・中等教育の13年間)に関しては、以下5つのポイントでそれぞれランク付けされています。

  1. 大学への準備(マサチューセッツ州4位):高校卒業生のうち、SAT(数学、読解、筆記の成績)、ACT(英語、数学、読解、科学の成績)、またはその両方に合格した人のおおよその割合
  2. 高校卒業率(マサチューセッツ州16位):公立高校の学生の卒業率。
  3. NAEP数学のスコア(マサチューセッツ州1位):全米の中学2年生の生徒を対象に実施する全米教育進歩調査(National Assessment of Educational Progress)というテストの数学のスコア。
  4. NAEP読解のスコア(マサチューセッツ州1位):全米の中学2年生の生徒を対象に実施する全米教育進歩調査(National Assessment of Educational Progress)というテストの読解のスコア。
  5. プリスクールへの入学(マサチューセッツ州5位):5歳未満の子どもの内、保育園もしくはプリスクールに入学している割合。

マサチューセッツ州は、NAEPのスコアで数学・読解共に1位、SAT・ACTにおいても4位と、テストのスコアにおいて全米トップレベルの水準です。保育園もしくはプリスクールに入学している割合も5位と高いのが特徴です。

ボストン都市圏の教育水準

次に、都市圏レベルで比較しながら、ボストン都市圏(Boston-Cambridge-Newton, MA-NH MSA)としての教育水準を見ていきたいと思います。

ボストン都市圏の定義についてはこちらをご覧ください。

グレーターボストンとは

ボストンに引っ越して間もなくの頃、「ボストンの名門大学はどこでしょう?」という質問をされました。「ハーバードかMITのどちらかですかね。」と答えたところ、どちらも…

WalletHubが公表している、人口の多い150の大都市統計地域(MSA)の教育水準ランキングによるとボストン都市圏は、アナーバー、サンノゼ、ワシントンD.C.、マディソン、サンフランシスコ都市圏に次いで、6位にランクインしています。

米国都市圏毎の教育水準ランキングトップ10
(出典:WalletHub 2022’s Most&Least Educated Cities in America

本ランキングは、以下5つのポイントを基に作成されています。

  1. 教育達成度(ウエイト80%、ボストン都市圏6位
    • 25歳以上のうち、高校卒業者の割合(ウエイト20%)
    • 25歳以上のうち、大学経験者もしくは準学士以上の学位保有者の割合(ウエイト20%)
    • 25歳以上のうち、学士以上の学位保有者の割合(ウエイト20%)
    • 25歳以上のうち、修士以上の学位保有者の割合(ウエイト20%)
  2. 公立教育システムの質と人種・性別・収入による教育格差等(ウエイト20%、マサチューセッツ州47位

ボストン都市圏は、マサチューセッツ州同様に、教育達成度において水準が高く、6位にランクインしています。

まとめ

ボストンの教育水準

  • マサチューセッツ州の初等~高等教育全体の水準は、ニュージャージー州に次いで、2位にランクイン(U.S.Newsが公表しているランキング)
  • 特に、K-12(主に幼稚園1年と12年間の初等・中等教育の13年間)の水準が高く、全米の中学2年生の生徒を対象に実施するNAEPのスコアでは数学・読解共に全米1位
  • マサチューセッツ州は教育達成度が高く、25歳以上の内、準学士(Associate Degree)以上の学位を持っている人の割合が全米で最も高い
  • マサチューセッツ州は授業料の高さや卒業時の負債の多さが課題
  • ボストン都市圏もマサチューセッツ州同様に教育達成度が高く、全米の全都市圏の中で6位

投稿者プロフィール

Take
1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。

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