史実がわかる歴史マンガまとめ|キングダム・ヴィンランドサガほか徹底比較
「キングダム」と「チ。」を読んでから史実に基づくマンガが面白いと思うようになり、気づいたらいろいろ読んでいました。エンターテインメント性も追及したマンガであるため架空の人物が登場したり史実と沿わない部分もありますが、史実との関係を抑えることで歴史を楽しく学ぶことができると思っています。また、各作者の描く登場人物の言動に触れながら、自分なりに歴史をイメージしたり偏見があった部分を再解釈したりする面白さがあると思います。
本記事では、史実に基づく各マンガの特徴を纏めていきます。

本ブログの要約
世界史を楽しく学べるマンガ一覧
まずは、世界史を楽しく学ぶことのできる史実に基づくマンガ一覧(9冊)を簡潔に纏めました。
また、各マンガが取り扱うエリアと時代を年表に落とすとこんな感じです。

上記9つのマンガはどれも特有の面白さがあり全てオススメできるのですが、中でも特に面白いと感じた4冊を紹介したいと思います。
オススメ①:キングダム

- 作者:原泰久
- 巻数:全75巻(2025年4月時点、連載中)
- 主人公:李信(秦の若き将軍)
- その他の登場人物(実在人物):
- 嬴政:後の始皇帝、若き秦王
- 王騎:秦の六大将軍の一人、圧倒的なカリスマ
- 李牧:趙の天才軍師、戦略の鬼
- 概要:紀元前3世紀の中国・戦国時代末期を舞台に、下僕出身の少年・信(モデル:李信)が「天下の大将軍」を目指す。
- 史実との関係:史実の戦争や政変をなぞりつつ、信の活躍や人間ドラマを交えたフィクション。大枠は史実に基づくが、年齢・戦果などに脚色あり。
- こんな方にオススメ:中国戦国時代や三国志が好きな人、熱いストーリーや成長物語を楽しみたい人
長編物語ですが、主人公の信を中心にずっと話が盛り上がっていく展開で、飽きずに読んでいます。戦闘時の緻密に描かれる戦略も読みごたえがあります。キングダムでは嬴政(後の始皇帝)が信と並ぶ主人公的な位置づけで描かれていますが、上記で紹介した『達人伝』では、嬴政は圧倒的暴力と支配の象徴として描かれておりその対比も面白いです。
オススメ②:蒼天航路

- 作者:漫画 王欣太(『達人伝』の作者でもあります)、原作 李學仁
- 巻数:全36巻(2005年に完結)
- 主人公:曹操孟徳(魏の礎を築いた三国志最大の覇者)
- その他の登場人物(実在人物):
- 劉備:蜀の初代皇帝
- 孫策:呉の初代皇帝
- 呂布:天下無双と称される最強の武人
- 概要:中国後漢末期を舞台に、「乱世の奸雄」曹操を主人公とし、三国志を再解釈した歴史大作。従来の悪役像を覆し、カリスマあふれる理想家・曹操として描く。
- 史実との関係:後漢末(黄巾の乱 184年)〜曹操の死(220年)までをほぼ史実通りに描写。フィクション要素は抑えめで、「演義よりも正史に近い」三国志として評価されている。
- こんな方にオススメ:魏の曹操をもっと深く知りたい人、リーダーシップや組織論に興味のあるビジネスパーソン
史実に基づきながらも、カリスマ性・野望・ユーモアを併せ持つ曹操の人間性がよく描かれています。日本でも、劉備や関羽を道徳的英雄とする伝統的価値観が長く続いたため、それに敵対した曹操は「敵役」として定着してきましたが、近年は法治を徹底し才があれば敵でも登用する「有能な政治家」「現実を見据えたリーダー」として再評価されつつあります。そんな曹操の豪快で知的な一生を描く本マンガはリーダーシップや組織論の目線でも読み応えがあると思います。
オススメ③:ヴィンランド・サガ

- 作者:幸村誠
- 巻数:全28巻(2025年4月時点、連載中)
- 主人公:トルフィン・カルルセフニ(探検家)
- その他の登場人物(実在人物):
- レイフ・エリクソン(新天地ヴィンランドをめざした探検家)
- クヌート大王(デンマーク・イングランド王)
- 概要:11世紀のヴァイキング時代を舞台に、アイスランド人の少年・トルフィンが、父の仇を追い復讐に生きるも、やがて「戦わない生き方」を模索し始める成長物語。
- 史実との関係:北海帝国(デンマーク・イングランド)や北米探検といった史実の流れを踏襲しながらも、主人公の復讐や贖罪の旅はフィクション。奴隷制度やキリスト教の受容など当時の社会背景も丁寧に描写されている。
- こんな方にオススメ:ヴァイキング・北欧史に興味がある人、成長ドラマや心理描写の深い青年漫画を求める人
物語の前半は戦闘シーンが多いですが、復讐に燃える主人公トルフィン・カルルセフニという少年が戦いの中で感じる虚しさを通じて「生きる意味」を模索する物語に徐々に変化していきます。登場人物それぞれの葛藤や成長が深く描かれ、読み進めるごとにドラマに引き込まれていきます。また、ヴァイキングの「略奪者」としての一面だけでなく「探検者」「開拓者」としての顔も面白く学ぶことができます。
オススメ④:チ。―地球の運動について―

- 作者:魚豊
- 巻数:全8巻(2022年に完結)
- 主人公:章ごとに主人公が交代(いずれも架空人物)
- その他の登場人物(実在人物):
- ニコラウス・コペルニクス(地動説の提唱者にして近代天文学の祖)
- ガリレオ・ガリレイ(“科学革命の父”と呼ばれる物理学者・天文学者)
- ※いずれも登場はしないが着想元と思われる人物
- 概要:地動説を巡る闘いを、架空の15〜16世紀ヨーロッパ風の世界で描く。科学革命を支えた「名もなき者たち」の魂を描く。
- 史実との関係:舞台や人物は架空だが、異端審問・魔女狩り・宗教支配下の科学否定など、ルネサンス期の科学史を忠実に反映。地動説の登場から社会変革まで、1〜2世紀分の科学革命を圧縮して描く
- こんな方にオススメ:・歴史や科学思想が好きな読者、哲学・倫理・信仰と向き合いたいビジネスパーソンや学生
命を懸けて「地動説」という禁断の真理を継承していく人々の物語で、派手なアクションはないですが「知」を追い求める信念と、それに伴う苦悩や葛藤が胸に刺さります。登場人物は架空ですが、異端審問・魔女狩り・宗教支配下の科学否定などを忠実に反映している分リアルさがあります。美しい構成と各登場人物のセリフの重みにも心が震えるマンガです。
まとめ
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投稿者プロフィール
- 1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。
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