ボストンの気候

人間の生活環境に少なからず影響を与える気候。近年、米国では温暖で過ごしやすいテキサスやフロリダ等のサンベルトと呼ばれるエリアへの移住が増えている傾向にある。実際、2020年に実施された国勢調査では、人口増加率が10年前の2010年と比較して、南部で+10.2%、西部で+9.2%と大きく伸びている一方で、北東部は+4.1%にとどまっている。

北東部に位置するボストンがどの程度寒いのか、東京・札幌と比較する形で見ていく。

■緯度

  • ボストン:42.4°N
  • 東京:35.7°N
  • 札幌:43.1°N

まず、緯度を見るとボストンと札幌がほぼ同じ緯度にあることが分かる。ボストンに住んでいると、北海道や札幌ぐらい寒い?と聞かれることが多いが、以下で説明する通り札幌程は寒くない。

■ケッペンの気候区分

  • ボストン:Dfa(亜寒帯湿潤気候)
  • 東京:Cfa(温帯湿潤気候)
  • 札幌:Dfb(亜寒帯湿潤気候)

東京が温帯(C気候、最寒月平均気温が-3℃以上)と呼ばれる比較的暖かい気候であることに対し、ボストンと札幌は亜寒帯(D気候、最寒月平均気温が-3℃未満)に区分される。また、いずれの都市も年中湿潤(f)で1年通じて雨が降る。3文字目のa, bの違いは最暖月平均気温が22℃以上かどうかが一つの基準で、aのボストンと東京は22℃を超えるが、bの札幌は22℃を超えない。

■平均気温

  • ボストン:10.1℃
  • 東京:15.2℃
  • 札幌:6.2℃

平均気温で見ると、ボストンは東京より5.1℃低く、札幌より3.9℃高い。ボストンでは平均気温がマイナスの月が1~2月の2ヶ月間であることに対し、札幌は12~3月の4ヶ月とより長い。札幌の冬のほうが寒いことが分かる。

■最寒月(1月)の平均高温

  • ボストン:1.6℃
  • 東京:8.5℃
  • 札幌:-4.4℃

最寒月(1月)の平均最高気温で見ると、ボストンは東京より6.9℃低く、札幌より6.0℃高い。生活環境という意味で冬の寒さを語る上ではこの数値が大事なのではないかと思っている。

やや話がそれるが、子どもの自律神経を鍛える上で、寒くても外に出て活発に動くことで体温調整機能を発達させることは重要である。我が家には外で遊ぶのが大好きな1歳の子どもがいる。気温0℃程度であれば防寒をして屋外で1時間以上遊ばせられる。ボストンで暮らしてみて、思っていたほど寒くないと感じるのは、最寒月の1月でも最高気温は0℃を超えることが多いためで、子どもも気持ち良さそうに外で遊んでいる。

一方で、-5℃~0℃程度の時は子どもを外で遊ばせるのも30分ぐらいが限界である。(それ以上は親もきつい。)-10℃~-5℃程度だと、5~10分程度で子どもの元気がなくなるか泣き出す。1月で言うと、感覚としては1週間に1日ぐらいは最高気温が-5℃未満もしくは降雪で、子どもをほとんど外で遊ばせてあげられない。

■降雨量(月平均)

  • ボストン:96.8mm
  • 東京:123.5mm
  • 札幌:105.5mm

ボストンは東京、札幌と比べると降雨量が少ない。以下のグラフの通り、比較的夏の降雨が少ないのが特徴。月平均の雨の日の日数でみると、東京が8.1日、札幌が11.0日なのに対して、ボストンは7.3日である。

■平均湿度

  • ボストン:69%
  • 東京:75%
  • 札幌:80%

ボストンは東京、札幌と同様に年中湿潤な気候であるものの、いずれの月でも湿度が両都市よりも低いか同等である。降雨量とも関係するが、夏期においても湿度が比較的低く過ごしやすいのが特徴である。

■まとめ

ボストンの気候を纏めると、亜寒帯に属する冬の寒さが厳しい地域ではあるが、ほぼ同じ緯度の札幌ほど寒いわけではなく、寒すぎて家に籠る日は最寒月の1月でも1週間に1日程度。夏は東京と近しい水準まで気温が上がるものの、比較的湿度が低い分過ごしやすい。1年を通じて月6~8日程雨が降るが、降雨量や雨天の日数は東京や札幌よりも少ない。

地球の歩き方によると観光シーズンは6~10月なので、その期間に是非お越しください。

【参考データ】

なお、上記グラフにおいては1999年から2019年までのデータを使用。

投稿者プロフィール

Take
1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。

Follow me!