ボストンでしか味わえない全米最古のスポット巡り
アメリカがイギリスの植民地時代であった17世紀に植民地最大の街であったボストンは、アメリカで最も歴史ある街のひとつです。本記事では、そんな歴史あるボストンにおける、全米最古のものを紹介していきます。(歴史を感じられるように、古い順に記載します。)
全米最古の都市公園:ボストンコモン
ボストンコモンは1634年に設立された全米で最も歴史的な都市公園です。長い年月を通じて、市民の憩いの場所としてだけでなく、多くの歴史的な出来事の舞台となってきました。
ボストンコモンは、地域コミュニティの共有地として始まり、1830年までは牛の放牧地としても使用されました。また、鞭打ち・絞首刑等の処罰の場や牢獄として利用されることもありました。
1775年にイギリス軍がボストンを占領した際には、1000人以上のイギリス軍がボストンコモンで野営をし、その後の独立戦争に繋がっていきます。現在に至るまで、公共の集会、宗教的な集まり等言論の場としての役割を果たしています。
現在のボストンコモンは、その豊かな歴史を反映する多様なアトラクションで満ちています。美しい緑地、池、歩行者用の道、そして季節ごとに変わる自然の風景は、ボストン市民にも観光客にも愛される公園です。常設されるプレイグラウンドだけでなく、夏にはプール、冬にはスケート場も設置されるため、子連れでも楽しむことができます。年越しイベントとして、年末には大迫力の花火を楽しむこともできます。
このようにボストンコモンは、ボストン市民の生活において重要な役割を果たしてきただけでなく、全国的にも都市公園の価値と可能性を示す象徴的な存在です。
全米最古の高等教育機関:ハーバード大学
ハーバード大学は、アメリカで最も歴史があり、世界的にも著名な高等教育機関の一つです。1636年にマサチューセッツ植民地議会によって設立され全米で最も古い高等教育機関です。当初は、植民地での聖職者の教育にありましたが、その使命はすべての学問分野に拡大しました。
ハーバード大学の名前は、初代学長のジョン・ハーバード牧師から取られています。彼は学校設立後わずか1年で亡くなりましたが、遺産として図書と資金を寄付し、その後の大学の発展に大きな影響を与えました。
ハーバード大学は、豊かな歴史だけでなく、学問の自由と革新の伝統でも知られています。アメリカ独立戦争や南北戦争など、国の歴史の転換点で重要な役割を果たしてきました。また、数多くのノーベル賞受賞者、国家指導者、学術界の先駆者を輩出してきたことで、世界中から尊敬を集めています。
世界有数の学術都市であるボストンには、ハーバード以外にも多くの高等教育・研究機関があります。興味のある方はこちらの記事をご覧ください。
全米最古のレストラン:ユニオンオイスターハウス
ユニオンオイスターハウスは、1826年に開業した現存している中ではアメリカ最古のレストランです。レストランが開業される前は、輸入業者が繊維製品を販売していました。
その後、新しいオーナーが半円形のオイスタバーを新設したことで、ボストンの偉人が立ち寄るようになりました。ブルックライン市(ボストン市の西側)出身の第35第大統領ジョン・エフ・ケネディも愛用しており、2階にはケネディブースと呼ばれるダイニングブースがあります。
この歴史的なレストランは、新鮮な牡蠣とクラムチャウダーやロブスター等のシーフードが名物です。現在に至るまで、レストランとしてではなく、19世紀の建築様式を保持しながらかつて偉人が訪れた歴史的な場所としても愛されています。
全米最古の公共図書館:ボストン公共図書館
ボストン公共図書館は、1848年に設立されたアメリカで最初の大規模な無料公共図書館です。当時、図書館は一般に資金力のある個人や特定の団体が利用するための私的なコレクションが中心でした。しかし、ボストン公共図書館は誰もが自由に利用できる知識のリソースセンターを提供することにより、公共図書館という新たなモデルをアメリカ社会に導入しました。
1895年に完成したマッキムビルは建築的にも重要な建物で知られています。ルネサンス様式の傑作であり、壮大な閲覧室、価値ある美術品、そしてヨーロッパの宮殿を彷彿とさせる装飾が特徴です。
マッキムビルから中庭を挟んで隣接しているジョンソンビルは、フィリップ・ジョンソンにより設計され1972年に完成しました。2016年にはリノベーションが実施され、より開放的でアクセスしやすい空間が生まれました。
このリノベーションにより、最新のテクノロジーを備えた学習空間、拡張された児童書エリア、そしてコミュニティイベント用の多目的スペースが設けられました。透明性を重視したデザインによって、自然光が内部を照らし、温かみのある雰囲気を創出しています。伝統を守りつつも21世紀のニーズに応える施設へと進化しました。
全米最古の地下鉄:トレモントストリートサブウェイ(現グリーンライン)
ボストンでは19世紀末にボストンの中心地の混雑問題が深刻化し、それを解消するために1897年にトレモントストリートサブウェイ(現グリーンライン)と呼ばれる米国初の地下鉄が開業しました。同時期に、ニューヨークやシカゴでは混雑を解消するために採用されていた高架鉄道とは対照的な取り組みでした。
1897年9月1日に最初に開業した「パークストリート駅」と「ボイルストン駅」は今も当時の面影を残したまま存在しています。
これらの駅を利用する際ボストンの歴史を感じることができますが、その裏返しとしてこの古さが現在の安全性の危機に繋がっています。興味のある方はこちらの記事をご覧ください。
全米最古の球場:フェンウェイパーク
MLBボストン・レッドソックスの本拠地球場であるフェンウェイ・パークは、現存するMLB専用球場としては最も古い球場です。1912年にオープンして以来、100年以上野球ファンから愛され続けています。試合のない日でも、球場内ツアーでフェンウェイパークを楽しむことができます。
ボストン市内の限られた土地に建設されているため、ホームからレフト側フェンスまでの距離が短く、容易に本塁打が出るのを防ぐために高さ37.2フィート(約11.3メートル)の巨大なフェンスが設置されています。このフェンスはグリーンに塗られているため、グリーンモンスターと呼ばれています。ファールゾーンも非常に狭いため、ファールゾーンでのフライアウトも少なく、バッター有利の球場と言われています。
過去に施設の老朽化や少ない収容人数等を原因に新球場の建設が検討されたこともありましたが、ファンからの反対等により断念しています。しかしながら、改修を何度も実施し、収容可能人数は開業時の約35,000人から2023年には37,755人まで拡張しています。
現在フェンウェイパーク周辺では「Fenway Corners」という総額$1.6B(約2,400億円)のプロジェクトが計画されており、特に球場西側において新しいオフィス、住宅、リテール等が新設される予定です。
まとめ
投稿者プロフィール
- 1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。
最新の投稿
- マクロ11/11/2024ボストンの移民データを徹底解剖!各国出身者の歴史と現状
- 教育09/21/2024米国駐在や留学前に必読!アメリカ史に関するオススメ書籍3選
- 教育09/20/2024アメリカ大統領のリーダーシップと歴史を徹底解説!「大統領から読むアメリカ史」
- 教育05/19/2024アメリカ史がもっと好きになる!「若い読者のためのアメリカ史」