米国のインフレ率(2022年8月)

先日、米国の2022年8月インフレ率(CPI)が発表され、前年同月比で予想8.1%に対して結果は8.3%でした。食品とエネルギーを除くコアCPIは予想5.9%に対して結果は6.3%でした。今回もカテゴリ別のインフレ率を見ていきます。

ボストンエリアのインフレ率をご覧になりたい方は以下の記事をご覧ください。ボストンエリアのインフレ率の詳細は2ヶ月毎の更新であるため、来月最新データを更新予定です。

woman sitting behind a desk using laptop and looking at items on a receipt

■米国のインフレ率推移

まず、米国の2020年以降のインフレ率(CPI)前年同月比は以下の通りです。

米国のインフレ率(CPI)
(U.S. Bureau of Labor Statisticsの情報を基に作成)

米国のインフレ率は、コロナ禍で一度低迷した後、サプライチェーンの混乱と旺盛な需要が重なり2021年5月に5%台となり、その後も段々と上昇しました。中国のゼロコロナ政策やロシアによるウクライナ侵攻がサプラインチェーンの混乱に拍車をかけ、2022年3月には8%台となりました。その後も8%以上を維持しています。2021年8月のインフレ率は5.3%であったため、2年間で13.6%インフレしています。

■米国項目インフレ率と直近半年間の推移

次に、米国のカテゴリ別インフレ率(CPI)と直近半年間の推移は以下の通りです。

米国のインフレ率(CPI)と直近半年間の推移
U.S. Bureau of Labor Statisticsの情報を基に作成)

前年同月比で、食品は+11.4%、エネルギーは+23.8%。食品・エネルギーを除くコアCPIは+6.3%(予測5.9%)です。項目別に見ていきます。

食品

前年同月比で+11.4%。シリアル・ベーカリー+16.4%、乳製品・関連製品+16.2%が比較的高いです。

エネルギー

前年同月比で+23.8%。前月比で見た時に、7月は▲4.5%、8月に▲6.2%となっており、2ヶ月連続で下落しています。前年同月比で、燃料オイル+68.8%、ガソリン+25.6%、ガス+33.0%等、全般的に上昇しています。エネルギーはロシアによるウクライナ侵攻翌月の2022年3月以降、ボラティリティも大きく、また上昇に転じる可能性もあるため、ピークアウトしたとは言いづらい状況です。

新車・中古車

前年同月比で新車+10.1%、中古車+7.8%。共にコアCPIの+6.3%を上回っています。関連項目としては、前年同月比で自動車整備・修理+9.1%、自動車保険+8.7%も見逃せません。

住居費

前年同月比で+6.2%。先月まではコアCPIを下回る水準でしたが、ここにきてコアCPI(+6.3%)に近い水準まで上昇しています。全体の支出の32.3%を占めるため、影響が大きいです。

航空運賃

前年同月比で+33.4%と大きく上昇しています。一方で、前月比で見た時に、7月は▲9.6%、8月に▲8.8%となっており、2ヶ月連続で下落しています。

ちなみに、私の住んでいるボストンから東京までのJAL直通往復便で、現時点での家族3人分の年末年始の航空運賃を確認すると$8,312でした。時期が近づいたことが理由でもあると思いますが、先月時点から+$334値上がりしています。本日のレート$=142.93円で換算すると、1,188,034万円です。。

年末年始のJALボストン-成田直通便(家族3名分)

■金利予測

インフレが高止まりすると、インフレ退治のために金利を上げざるを得ません。最後に、現時点でのFOMC(米国連邦公開市場委員会)関係者の金利予測を纏めておきます。以下のグラフは「Fed’s Dot Plot」と呼ばれる、各関係者の予測値をグラフにしたものです。予測値の中央値は青で掲載されています。

Fed’s Dot Plot(FOMC関係者の各予測値)と予測中央値
(出典:Chatham Financial

各年末の予測値の中央値を纏めると以下の通りです。

  • 2022年末:3.375%
  • 2023年末:3.750%
  • 2024年末:3.375%
  • 2025年末:2.500%

インフレの高止まりを鑑みると、9月のFOMCにて予測値はさらに上方修正されそうです。

■まとめ

  • 米国の2022年8月のインフレ率(CPI)は、前年同月比で予想8.1%に対して結果は8.3%
  • 2022年3月以降、8%以上で高止まり
  • 前年同月比で、食品は+11.4%、エネルギーは+23.8%。食品・エネルギーを除くコアCPIは+6.3%(予測は5.9%)
  • エネルギーは高い水準であるものの、7月は前月比▲4.5%、8月に前月比▲6.2%と2ヶ月連続で下落
  • エネルギー分野別では、燃料オイル+68.8%、ガソリン+25.6%、ガス+33.0%等、全般的に上昇
  • 自動車関連では、前年同月比で新車+10.1%、中古車+7.8%、自動車整備・修理+9.1%、自動車保険+8.7%
  • 全体の支出の32.2%を占める住居費は+6.2%

投稿者プロフィール

Take
1988年生まれ。神奈川県出身。2011年に慶應義塾大学理工学部を卒業し不動産デベロッパーに入社。2017年より米国ピッツバーグ大学に留学。2019年にBeta Gamma Sigma (優秀な成績を収めた卒業生に送られる称号)で卒業しMBA取得。2019年以降米国不動産業に従事し、2021年以降ボストンを拠点にオフィスや賃貸住宅のアセットマネジメント業務に従事。

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